緩和ケアの需要とやりがい

■緩和ケアの必要性を考える

日本でも緩和ケアの必要性や認知度は高くなってきたものの、積極的に緩和ケアに取り組んでいる国と比べるとまだまだ浸透しているとは言えません。厚生労働省が発表しているがん対策についての資料によると、緩和ケア提供体制を算出し、比較した結果では、イギリスを100%とした時に日本はわずか30%という数字が算出されます。オーストラリアやベルギー、アメリカ、香港、シンガポールなどと比べてみても日本における緩和ケアの提供率は群を抜いて低い結果なのです。
日本ではがんによる死亡者数が高い数値を示しているにも関わらず、自分らしい最期を迎えるためのサポートになることができる緩和ケアの提供がこのままで良いはずはありません。
緩和ケアの本来の意義、必要性をより広く知ってもらい、緩和ケアの提供体制についてより深く考えていくことが求められているのです。

■緩和ケアに携わる職場

緩和ケア病棟のある病院以外でも、緩和ケアに携わる環境はあります。緩和ケア外来におけるケアやホスピスでの看護業務、さらにはご自宅で療養されている方のケアを行う訪問看護といった働き方もあります。最近では最期の看取りまでお世話をする介護施設も増えており、緩和ケアに携わる職場は多様化しています。自分がどんな緩和ケアを実践したいのかを考えていくことで、その職場を選ぶことをオススメします。

■緩和ケアという仕事

人の尊い最期を看取ることもある緩和ケア。非常につらく悲しい想いをすることもありますが、真剣に向き合った先に、他では体験できない深い人と人とのつながりを感じることもあります。
「どんな時に緩和ケアをしていて良かったと思うのか」を看護師に尋ねたところ
・入浴やお散歩など、日常の「当たり前」のことをサポートするだけで感謝の言葉をもらえた時
・どの病棟看護より、患者さんの意思を尊重した看護ができるところだと感じた時
・患者さんのご家族の相談に乗ることで、少しでも気持ちを楽にしてもらえた時
・そばに寄り添うことの大切さに気づけた時
・緩和ケアを行う前は、不安につぶされそうだった患者さんが穏やかな表情で最期を迎えられた時
・緩和ケアチームのスタッフと励ましあう時
などの意見が返ってきました。
緩和ケアは「患者さんの苦痛や不安をやわらげ、その人がその人らしい生活を送れる」ために力になれる可能性のある仕事なのです。

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