緩和ケア認定看護師になるには

認定看護師とは

認定看護師とは、特定の看護分野において熟練した看護技術と知識を有していると、日本看護協会の認定を受けた看護師のことを指します。
認定看護師の役割は、認定看護分野ごとの専門性を発揮しながら、患者さんやご家族へよりよい看護を提供することです。

具体的な活動としては以下の3つが挙げられます。

☆実践☆
専門的な治療や看護を必要とする患者さんやご家族に対して最も適切な看護は何かということを専門分野の知識に基づき判断および実践します。
☆指導☆
専門的な知識や看護技術をもって他の看護師へ指導し、水準の高い看護を行えるように働きかけます。
☆相談☆
看護師が直面する問題や疑問の相談にのり、改善策を導き出せるよう認定看護分野の専門知識に基づきサポートします。

現在登録されている認定看護分野は、緩和ケアのほか
救急看護・皮膚・排泄ケア・訪問看護など19分野です。
この数は、2020年度に施行された新認定看護師教育制度に基づいています。
2019年度以前の教育制度では21分野ありましたが、その制度は2026年に終了する予定です。

緩和ケア認定看護師になるには

緩和ケア分野の認定看護師になるには、認定看護師教育機関にて修学しなければなりません。
修学条件は、看護師の国家資格を有し、5年以上の実務経験あること。
そのうち、3年以上は認定看護分野での実務研修が必要です。
約6ヶ月の教育課程を修了し、筆記による認定審査に合格すれば、緩和ケアの認定看護師として登録されます。
緩和ケアに限らず、認定看護師の資格取得は容易ではありません。
そのため、認定看護師を目指す多くの人は、休職もしくは長期出張扱いで勉強に励むことが多いようです。
もし、本気で緩和ケアの認定看護師を目指しているのであれば、前もって職場の上司に相談しておくとよいでしょう。

認定看護師資格を取得するためにかかる費用は、約100万円です。
その内訳は
入試料と入学金が各5万円ほど
授業料が約70万円
実習費用が約10万円
認定看護師資格が取れるかどうかの審査をしてもらう審査費用が5万円
認定費用が5万円ほど。

認定看護師の資格取得ができる学校によって、若干、費用に差があります。
また、取得する資格によっても金額に差があるようです。
職場によってはキャリアアップ支援制度を設け、金銭的な補助をしているところもあります。
自分の職場はどうなのか調べておきましょう。
なお、緩和ケアの認定看護師になるための教育課程を受けられる機関は、それほど多くありません。
最寄の教育機関はどこか、定員はどれくらいなのかといったチェックも早めにしておくことをオススメします。
現在医療機関で働かれている方はその医療機関が認定看護師の資格取得を推奨している場合、資格取得のための金銭的な補助が出る場合もあります。

緩和ケア認定看護師になるには

緩和ケア認定看護師になるメリット

緩和ケア認定看護師の資格を取得する最大のメリットは、正しい知識を持って患者さんの心と身体、両面のケアが行えることです。
専門性の高い知識を習得することにより、患者さんのQOLを最優先させた看護プランも自信を持って立てることができるようになります。
また、職場全体の質向上のため、周囲の看護師へ指導したり、他部署とコンサルテーションを行ったりする機会も増えるでしょう。
日中の活動量や範囲の増加に伴い、夜勤が減る、免除になるというケースもあるようです。
さらに、資格保有者ということで、待遇面や昇進でも期待ができます。
認定看護師ということで、最新の医療情報を得やすいというメリットもあります。
これらの刺激は、現状に留まることなく、緩和ケア認定看護師としてよりスキルアップするためのモチベーションにもなるはずです。
認定看護師が在籍しているというのは、医療機関にとってはステータスになります。
そのため、求人をする際に、在籍する認定看護師として広告的役割を担うことがあるかもしれません。
それだけ、魅力的で尊敬に値する資格だといえるでしょう。

新資格「特定認定看護師」について

先にも触れましたが、2020年度から新たな認定看護師「特定認定看護師」の教育カリキュラムが施行されています。
認定看護師教育との大きな違いは、専門分野の数と特定行為研修の有無です。
旧カリキュラムでは21の専門分野がありましたが、新たなものでは19分野へと変更されています。
これは単に削減されたのではなく、横断的な看護がしやすくなるように統合されたものです。
例えば、「緩和ケア」と「がん性疼痛」が統合されて「緩和ケア」へと変更。
旧カリキュラムでは、がんやがん患者さんに限定した科目がメインでした。
新カリキュラムでは、生命を脅かす疾患に直面している患者さんやご家族も対象として勉強します。
また、新カリキュラムでは、医師又は歯科医師の判断を待たずに、在宅緩和ケアなどで一定の診療の補助行為ができるようになる「特定行為研修」を設けています。
これに伴い、教育時間は600時間から800時間に増えましたが、短期間に看護師の専門性を高められるようになりました。
なお、認定看護師制度は2026年度をもって教育終了、認定審査は2029年度をもって終了する予定です。
旧カリキュラムで認定看護師の資格を取得した方は、一部研修を受け(人によって異なる)、事務手続きを行うことで「特定認定看護師」の資格へ移行することができます。
移行手続きは2021年度からできるので、今一度自分のキャリアについて考えてみましょう。

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